themeposter

−関東大震災時の朝鮮人虐殺を否定するネット上の流言を検証する−

20分でわかる「虐殺否定論」のウソ

All the lies in “denial of massacre” revealed in just 20 minutes.

はじめに忙しい人のためにかいつまんで説明

1923年(大正12年)9月の関東大震災時、混乱のなかで流れたデマによって人々が自警団を結成し、軍や警察も関与する形で、朝鮮人を無差別に虐殺するという事件が関東各地で起こりました。この出来事は、歴史の常識として中学の教科書にも載っていますが、最近、「朝鮮人虐殺などなかった」と否定する人々がいます。しかしこうした主張は荒唐無稽であり、史実・論理・常識に照らして、全く成り立つ余地がありません。そのうえ、こうした考えが広がることは、私たちの社会にとって現実的な危険をはらんでさえいます。それはなぜでしょうか。忙しい人のために、かいつまんで説明しましょう。

themeposter

その1「朝鮮人虐殺」は歴史学の常識

保守派の歴史学者であっても、関東大震災時に多くの朝鮮人が流言によって虐殺されたことを否定する人はいません。虐殺の史実は、学問の世界では左右の政治的立場を超えた「常識」として確定しています。
内閣府中央防災会議の専門調査会が第1次安倍政権下の2009年にまとめた関東大震災報告書でも、朝鮮人虐殺については詳しく記述されています。

themeposter

その2誰も暴徒を見なかった―同時代人の常識だった「暴動は流言」

震災直後の朝鮮人虐殺の原因が、「朝鮮人が暴動を起こした」「井戸に毒を入れた」といった流言であったことはよく知られた事実です。ところが「これらは流言ではなく事実だった」と主張する人々がネット上には存在します。つまり、暴動や井戸への投毒は本当にあったというのです。

もちろんそんなことはありません。実際には、当時も、震災の混乱が収まった頃にはこうした流言を信じる人はいなくなりました。当時の警視庁の報告も、これらが流言であり、事実ではなかったという認識を当然の前提として書かれています。なぜでしょうか。自分の目で「朝鮮人暴徒」を見たという人が誰もいなかったからです。震災の数ヵ月後には「あれはデマだった」というのが、警察などの行政機関を含む同時代人の常識となったのです。

themeposter

その3「虐殺の証拠はない」は大間違い

朝鮮人が虐殺されたことを示す証拠はない、という人々がいます。あるいは、証拠とされているのは証言だけだと思い込んでいる人々がいます。これらはまったくの間違いです。各地で虐殺が起きていたことは、行政や司法の記録によっても、当時の報道によっても確かめることができます。もちろん証言も、行政関係者や知識人の言及、庶民の回想など、多様なかたちで残されています。

themeposter

その4震災直後の新聞のデタラメ

「不逞鮮人1千名と横浜で戦闘 歩兵一個小隊全滅か」―ネット上に、こうした類の、朝鮮人暴動を伝える震災直後の新聞記事をアップしている人々がいます。
彼らは、これらの記事の存在こそが、朝鮮人暴動が流言ではなく事実であった動かぬ証拠だと考えているようです。しかし実際には、それらは交通や通信が途絶えた震災直後に氾濫したデマ記事の類にすぎず、その後、行政機関の報告でも「虚伝」として紹介されているものです。この時期は、「伊豆諸島沈没」「富士山爆発」「名古屋壊滅」など、様々なデマ記事があふれました。富士山の爆発と同じく、新聞がさかんに伝えた朝鮮人暴動も、誰も実際には見ていない「幻」だったのです。

themeposter

その5「政府が暴動を隠蔽した」という荒唐無稽

ノンフィクション作家の工藤美代子氏とその夫である加藤康男氏は、震災当初に新聞が伝えていた「朝鮮人暴動」は誤報でも流言でもない、それらが「流言」におとしめられたのは当時の政府が事実を隠蔽したからだ―と主張しています。「朝鮮人暴動」を否定する公式記録のほうがウソをついているのだというわけです。しかし、工藤夫妻は隠蔽があったことを論証できていません。そもそも、常識で考えて、東京や横浜の各地で暴動や銃撃戦があったとしたら、多くの人に目撃されているはずです。たとえ政府でもそれを隠蔽し続けるのは不可能です。

themeposter

その6「悪いことをした朝鮮人もいた」のか

ネット上に「朝鮮人暴動の証拠」としてアップされている記事の中には、震災から2ヶ月近くが経ち、震災直後とはいえない1923年10月21日ごろのものも含まれています。そして、そこには朝鮮人が多くの重大犯罪を行なったという内容の見出しが並んでいます。これは司法省の発表にもとづくものであり、「デマ記事」と呼ぶことはできないでしょう。しかしその発表内容がどこまで事実かといえば、疑わしいものの方が多いのです。それは、朝鮮人虐殺の衝撃を相殺するための政府の工作でした。暴動はなかったが、ごく一部の朝鮮人は犯罪を行なった、悪いのはこいつらだ―と印象づけるため、流言をかき集めて発表したのです。しかし実際には、震災時に刑事犯罪によって起訴された朝鮮人は12人にすぎませんでした。

themeposter
themeposter